作品名: | No.09「喚起装置」 |
制作者: | 望月 菊磨 |
略歴: | 1945年福岡市生まれの彫刻家。東京芸大工芸科鍛金科卒。同大学院修了後は照明デザインのかたわら、鍛金技術を生かして真鍮や鉄などを素材にした造形とも取り組む。真鍮板を両側から機械で引っ張って変形させたシリーズや、真鍮板の表面を加熱しながらたたいて微細なシワを作り出したシリーズがことに有名。1975年の現代日本美術展、1982年の日本国際美術展でいずれも佳作賞を受賞。山口県宇部市の名高い野外彫刻展である現代日本彫刻展にも出品してきたが、1979年に金属から一転、バルーン彫刻を発表して話題を呼んだことも。以後は金属に戻って制作を続け、公共空間のモニュメントも数多く手がける。 |
横長の画面が升目に区切られ、赤・青・黄・紫……等に彩られています。作者は病院のホールにこの作品が掛けられることを念頭に、心や体が明るくなるように、みずみずしくあるように、また活力あふれるようにと、具体的なかたちを用いずに、筆の勢いと色とリズムをもって描きました。春の緑、夏の黄や赤、秋の茶、冬の白や青。一年の四季を通じていきいきと健やかにあることの願いを込めて描いています。
作者の本来の仕事は彫刻ですが、今回初めて色をもつ絵画を試みました。技法はマスキングテープで境目を作り、彩色する方法です。幾何学的な直線と、人の手による自由な筆致との対比が、リズミカルでのびやかな画面を作っています。
彫刻家 望月 菊麿